淡水魚(川魚)を飼育する際に必要となる水槽やエアーポンプ,ろ過装置などの飼育設備や飼育環境,エサ,水換えなど淡水魚(川魚)の飼育方法全般について解説します。
なお、このページで解説しているものは、当研究所で初めて飼育する種類の魚の場合に使う方法でもあり、その魚に対して最適な飼育方法かどうかはわかりませんが、どのような魚に対しても一応飼育できる方法となります。
飼育する魚が決まっている場合は、淡水魚研究室から目的の魚の飼育方法をお探しください。
水槽の大きさは、小さい水槽よりはある程度大きな水槽のほうがよい。これは、小さい水槽よりも大きい水槽の方が水の量が多く水質が安定しやすいためである。飼育する魚の種類や大きさにもよりますが、最低35cm水槽は使った方がよい。加えて、扱いやすさも考えれば、横の長さ(長いほうの辺の長さ)が35cm~45cm程度の水槽がよいと思われます。魚を飼育するときは、1つの水槽にたくさんの魚を入れずに、密度を低くして飼育します。また、魚の大きさや飼育数などを考慮し、狭すぎにならないような水槽で飼育するようにします。
エアーポンプはなくても飼育はできますが、大きな水槽で少ない数の魚,水槽に対して小さな魚を飼育することしかできません。エアーポンプのない水槽にたくさんの魚を入れると、たいていの魚は酸欠により死亡します。酸欠に強い魚は死亡しなくても、やせ形になったりヒレがなくなったりするほか、発育不良にもなります。当然ながら、このような環境で繁殖させることはできません。そのため、エアーポンプは基本的に必要となります。
ろ過装置もなくても飼育はできますが、あった方が水の汚れの進行が遅く、飼育する上では水換えの回数を減らすことができるので便利です。また、ろ過装置があると魚の糞などが水中を浮遊しなくなるため、水が透明に近い状態となり、見映えもよくなります。魚の長期的な飼育のためには必要となります。ろ過装置には上部式や外掛式の他に、エアーポンプと一体化したエアーリフト式などがあります。お手軽に飼育するのであれば、エアーポンプと一体化したエアーリフト式で問題ありません。
ちなみに、エアーポンプがある場合とない場合では、一般的にある場合の方が水の汚れ方が遅く、ない場合の方が汚れ方が早いようである。また、エアーの量も多い方が水の汚れ方が遅く、少ない方が汚れ方が早いようである。必要以上にエアーの量を多くする必要はありませんが、少なすぎないようにする必要があります。
水換えは水が汚れてきたり、見た目はきれいに見えても一定の期間(目安としては2~4週間程度)が経過すれば行います。水換えを怠ると魚の死亡原因となります。透明できれいに見えても水質としては悪くなっている場合があるので注意が必要です。全体の2~8割の水を交換する部分的な水の交換のほかに、全ての水を交換する方法もあります。新しく入れる水は必ずカルキ(塩素)を抜いたものを使います。全ての水を交換する際には、必ず魚を一時的に別のケースに移動する必要がありますが、この時に使う水も必ずカルキ(塩素)を抜いたもの、または水換え前の水を使うようにします。水換えの際には水槽も洗います。全ての水を交換しない場合は、水槽の側面の汚れを掃除します。全ての水を交換する場合は、水槽を丸ごと洗います。なお、水槽を掃除する場合に洗剤などを使ってはいけません。
鰭が赤くなったり体表が赤くなった場合(もともと赤い種類を除く)は、水槽の水の8割程度のように部分的に水換えを行うよりも、水槽の水を全て交換し、更に水槽やろ過装置も掃除するほうが治る確率が高いようである。
水換えの時期の目安や注意点については、水換えとその注意点もお読みください。
ろ過装置やフィルター(ろ材)が汚れてきた場合は掃除をします。ろ過装置やフィルターを水で洗って汚れを洗い流します。汚れているからといって洗剤などを使ってはいけません。フィルターを長い期間使用し、掃除を何回もするとフィルターが痛んできます。水洗いをしてもきれいにならなくなったり毛羽立ってきたら交換の目安であるため、新しいものと交換します。
雑食性の魚のエサやりは1日2~3回行うのがよく、数分以内に食べきる量を与えます。食べ残しが出ると水が汚れる原因となります。逆にエサが足らないと魚がやせたり死亡したりします。エサはたくさん与えるようにしますが、食べ残しが出るか出ないかのギリギリの量を与えるというのが理想的です。エサは、口に入る大きさのものを与えるようにします。冬季はあまり食べない場合が多いため、1日1回少量を与えるか、それでも食べ残しが出るようであれば数日に1回少量を与えるようにします。口が下向きについている魚の場合、浮いているエサは食べない可能性があります。沈んでいるエサであれば、どのような魚でも基本的に食べることができるため、よくわからない場合は沈むエサを与えるとよいでしょう。
肉食性の魚のエサやりは1日~数日に1回、ミミズやエラミミズ,イトミミズ,アカムシ,ボウフラ,ゴキブリ,ハエなどの生きたエサを与えます。口に入れば特に問題なく食べることが多い。ゴキブリやハエの場合は魚に食べられる前に脱走する場合があるため注意が必要です。脱走防止のためにしっかりとフタができる飼育ケースを使うとよい。小さい個体や小さい種類の肉食魚は、1日1回はエサを与えるようにした方がよく、数日に1回程度だと死ぬ場合があります。
一般的に、日本の淡水魚は水温30℃を超える環境では死んでしまいます。そのため、水温を30℃以下にする必要があります。また、川の上流に生息する淡水魚の場合はもっと低い水温(魚の種類によって異なりますが、水温15~25℃程度)でなくてはなりません。なお、1日の気温変化の小さい場所で飼育するのがよい。室内の1階で冷暖房を使用しない場所が適しています。なお、1日の気温変化の小さい場所で飼育するのがよい。1日の気温変化が大きいと、魚が死亡する場合があります。1日の気温の変化が小さい場所で飼育している場合は、ヒーターはなくてもよい。
基本的に、昼間は明るく夜は暗い場所で飼育をします。そのため、蛍光灯はなくても問題ありません。しかし、1日中暗い場所で飼育している場合は蛍光灯が必要となるでしょう。水草を入れる場合は、暗いと水草が枯れてしまうため、昼間は明るくなる場所に置くか、蛍光灯を使って明るい環境を作る必要があります。また、繁殖させる場合は、日長時間が関係するため、暗い場所で飼育している場合は繁殖できない場合があります。
水草は魚の飼育だけを目的とする場合においてはなくても問題ありませんが、産卵(繁殖)に水草が必要となる種類もいます。このような種類の魚の産卵(繁殖)を目指す場合は、水草または水草の代わりとなる人工水草が必要となります。
水槽のフタは、魚が水槽から飛び出す場合があるのであると便利です。フタがない場合は、水槽にギリギリまで水を入れずに少し水位を下げる(7~10cm程度)ことで飛び出しをある程度は防ぐことができますが、完全に防ぐことはできません。特によく飛び跳ねるオイカワやカワムツの場合は必ずフタをしておくべきである。このように水位を下げた場合に入る水の量の目安は、30cm水槽で8リットル、35cm水槽で12リットル、40cm水槽で16リットル、45cm水槽で23~24リットルである。また、フタには水槽内にゴミなどが入らないようにする役割もあります。
砂利はあってもなくても飼育できます。とりあえず飼育することだけを考える場合は不要ですが、砂利を敷くと水質の安定に役立ちます。よって、水換えの頻度を下げることができる可能性があります。なお、水槽の底面または砂利が黒いほうが魚の体色はきれいになります。白や青などのように黒ではない場合は、魚の体色が白っぽくなる傾向があります。そのため、婚姻色を楽しむ場合には、色が薄くなってしまう可能性があります。