シロヒレタビラの飼育に必要なものや飼育環境,エサ,水換えの方法,注意点などの飼育方法(飼い方)について解説します。
10cm程度にまで成長することや、飼育数などを考慮すると40cm以上の水槽が好ましい。飼育数は少なめの方がよい。個体によっては同種,他種に関係なく他の個体を追いかけまわす場合もあるため、広めの水槽を使う方が好ましい。また、他の個体を追いかけまわす個体は隔離するなどの対応が必要である。
酸欠には弱いため、酸素が十分に供給されるようにする必要があります。そのため、エアーポンプはあった方がよい。また、水質悪化には弱いため、ろ過能力の高いろ過装置を使う方が好ましい。飼育数が多い場合は上部ろ過装置のようにろ過能力の高いものを使うほうがよい。10匹以下であればエアーポンプと一体化したエアーリフト式でも飼育できます。また、水換えの頻度を高くして、水質がいい状態を常に保つようにします。
水温30℃を超えると、暑さで死亡する場合があるため、水温30℃以下の環境が好ましい。また、昼間は明るく夜は暗い場所がよい。なお、飼育は1日の気温変動が小さい場所で行います。この場合はヒーターはなくても問題ありませんが、やむを得ず1日の気温変動が比較的大きい場所で飼育を行う場合は、ヒーターを使用して水温が一定になるようにすることが好ましい。気温変動が大きいと、水槽内の水温の変動も大きくなる可能性があり、魚の健康によくないためである。
春~夏~秋にかけては比較的よく食べるため、エサは多めに与えるようにします。1日2~3回、数分で食べきる量を与えます。食べ残しが出ると水が汚れる原因となります。逆にエサが足らないと魚がやせたり死亡したりする場合があります。水温が低くなってくる10月下旬~11月上旬頃にはエサを食べる量が減少してくるため、エサを与えすぎないように注意します。水温が低い冬季はほとんどエサを食べない個体もいるため1日1回少量、状況によっては数日に1度、少量を与えるだけで十分な場合もあります。気温が上がってくる3月末~4月上旬頃からたくさんエサを食べるようになります。エサは1mm程度の大きさの人工飼料でよい。また、春~夏にかけての時期を中心にアオミドロなどの藻類も比較的よく食べます。
水質悪化には弱く、水質が悪化してくるとすぐに鰭や体表から出血する場合があります。よって、1週間に1回水換えをするなど頻度を高くしたり、水槽に入れる魚の数を減らしたりといった対策が必要である。水換えを行うと治りますが、水質が悪化してくると再び同じ状況になります全体の2~8割の水を換える部分的な水換えで治らない場合は、全ての水を交換すると基本的に治ります。なお、水が透明で見た目はきれいでもこのような状況になるため、日々観察するなどの注意が必要である。また、水質が悪くなってくると水温が変化していないのにエサの食べ方が悪くなったり、繁殖期であるのに突然婚姻色が薄くなったりする場合があります。このような場合は水質が悪化してきているため水換えを行います。
全体の2~8割の水を交換する部分的な水の交換のほかに、全ての水を交換する方法もあります。新しく入れる水は必ずカルキ(塩素)を抜いたものを使います。全ての水を交換する際には、魚を一時的に別のケースに移動する必要がありますが、この時に使う水も必ずカルキ(塩素)を抜いたもの、または水換え前の水を使うようにします。全ての水を交換しない場合は、水槽の側面の汚れを掃除します。全ての水を交換する場合は、水槽を丸ごと洗います。なお、水槽を掃除する場合に洗剤などを使ってはいけません。
冬期(11月~3月頃)は水の全交換は避けた方がよい。水換え数日後に多数の個体が死亡する場合があります。また、水槽の水の全交換を含め、交換する水の割合が高いと冬季は水カビ病になる個体が出る場合があります。水換えは全水替えではなく、5~7割程度、最大でも8割程度にしておくと死亡する個体が出ないほか、水換えに伴う病気にもなりません。
夏期は水換え前後に水温差が出やすくなります。特に水を汲み置きして塩素を抜いている場合は水温が高くなりがちである。水換えの際に新しい水が温かい場合や体感で明らかに水温差がある場合は魚を入れてはいけません。特に、水換え後の水温の方が高い場合は危険である。水槽の大きさや飼育数によって異なるが、夏季、特に8月ころは1週間に1回の水換えでも不十分な場合があり、この場合は飼育数を減らすか、3~4日に1回水換えをするなど水換えの頻度を高くする必要があります。
シロヒレタビラは塩素(カルキ)に弱いため、日陰やあまり太陽光が当たらない場所で汲み置きの水を保管している場合は、夏季は2日以上、冬季は4日以上置いておいた方がいいようです。ペットボトルのように入り口が狭い場合は前述くらいの日数が必要である。
ろ過装置やフィルター(ろ材)が汚れてきた場合は掃除をします。ろ過装置やフィルターを水で洗って汚れを洗い流します。汚れているからといって洗剤などを使ってはいけません。フィルターを長い期間使用し、掃除を何回もするとフィルターが痛んできます。フィルターが毛羽立ってきたら交換の目安です。フィルターが痛んできたら新しいものと交換します。なお、シロヒレタビラを飼育していると、フィルターが目詰まりしやすい傾向があります。
繁殖期である4~6月に婚姻色を楽しみたい場合は、昼間は明るく夜は暗い環境と冬季の低水温が必要である。昼間の明るさは単に明るいだけでよく、日光や蛍光灯の光を直接当てる必要はありません。また、昼間の長さもある程度関係あるようで、できるだけ季節ごとの昼間の長さと同じ時間だけ明るくなるようにします。水槽の底面または砂利は黒いものがよい。白や青などの色の場合、婚姻色が薄くなる場合があります。なお、飼育だけや繁殖だけを目的とする場合は、砂利はなくても問題ありませんが、砂利を敷くと水質の安定に役立ちます。よって、水換えの頻度を下げることができる可能性があります。水草も飼育だけを目的とする場合はなくても問題ありません。
水位を満水より7cm程度下げておけば水槽からの飛び出しは基本的にありませんが、フタはしておいた方が無難である。小さな個体はびっくりした際に飛び出す場合があるため注意が必要である。
個体数の減少等により、2ケース以上で飼育していた個体を、1ケースに統合する場合は注意が必要です。例えば、2ケースで飼育していたが、徐々に個体数が減ってきて1ケースに統合したい場合、1ケース目が3個体、2ケース目が1個体でこれらを1ケースに統合する場合だと、1個体だった方が他の3個体に追いかけまわされて死亡する場合があります。特に、前述の例だと3個体がいるケースに1個体を入れるといった統合は避けた方がよいほか、オスがいる水槽に別に水槽にいた個体を統合するのは避けた方がよい。
ちなみに、成長速度はかなり遅くなかなか大きくなりません。