カブトムシの繁殖方法(産卵方法)を解説します。カブトムシを繁殖させるために必要なことや環境,注意点について解説します。また、産卵後の卵の管理についても解説します。
産卵させる前に交尾をさせる必要があります。飼育ケースにオスとメスを入れておくだけで勝手に交尾をします。エサは十分に与えるようにします。エサ不足の場合、栄養不足になり産卵しない可能性もあります。なお、野外で採集したメス個体はすでに交尾済みの場合もあるため、交尾をさせなくても産卵する場合があります。
産卵には、縦15cm,横25cm以上の大きさの飼育ケースを使用します。飼育ケースに湿らせたクヌギマットまたは発酵マットまたは腐植土(腐葉土)を10~15cm入れます。マットを入れる際は、マットを固める必要はなく、そのまま飼育ケースに入れるだけでよい。飼育ケースが狭かったり、マットの量が少ない(5cm程度では産卵しないか産卵しても少量になる)場合は産卵しない場合があります。マットが乾燥してきたら霧吹きなどで湿らせます。
交尾済みのメスを産卵用のケースに移動させてもいいですが、特に何もしなくても飼育ケースのマット内で産卵します。飼育ケースから「キーキー」とケースを引っ掻く音が聞こえてくる場合がありますが、これは産卵のためにより深い場所に潜ろうとして、飼育ケース底面を引っ掻くときに出る音らしく、この音がしていれば産卵している可能性は高くなります。ただし、この音がしていなくても産卵していることもあります。また、カブトムシのメスは産卵の際にマットを固める、固めた部分に産卵するため、産卵が行われるとマットの体積が減少することが多い。ちなみに、1匹のメスが100個以上産卵する場合もあります。
産卵が始まったら、1週間に1度くらいの間隔で、産卵された卵を傷つけないように卵だけ、または、卵の周りのマットといっしょに取り出します。そして、別の飼育ケースに湿らせたマットを入れておき、そこに移動させてマット内に埋めておきます。卵を埋める時はまとめて埋めずに1個ずつ分散させて埋めるようにします。
卵は同じ時期に取り出したものだけを1つのケースに入れるようにします。また、産卵用の飼育ケースから卵を取り出す際に、前回の卵を取り出す時に見落とした卵や、見落とした卵から孵化した幼虫が発見された場合、これらの卵や幼虫は別のケースに入れるようにし、最近産卵された卵とは別のケースに入れるようにします。比較的最近に産卵された卵は白く、孵化が近い卵は黄色っぽい色をしているため、判別は可能です。時期が異なる卵を入れたり、卵の取り出し間隔が長い(2週間程度に1回)と、孵化直前の卵と産卵直後の卵が同じケースに入ってしまい、先に孵化した幼虫が卵を食べてしまいます。そのため、思った以上に幼虫が増えない場合があります。なお、産卵が始まったら1週間程度が経過するたびに成虫を別の飼育ケースに移動させていくという方法でも問題ありません。ちなみに、卵を移動させることによって孵化率が下がったりといった印象は特にありませんでした。
カブトムシのメスはマットを固めて、その内部に産卵します。そのため、マットが固まっている部分を崩すと中から卵が出てくる場合が多い。なお、産卵された卵をそのまま放置しておくと、親虫がマット内に潜って移動したときなどに卵や孵化した幼虫をつぶしてしまい、思った以上に増えない場合があります。
なお、卵の除去の際に、成虫を一時的に取り出す場合は、必ず蓋をしたケースに入れます。カブトムシは昼間でも飛ぶ場合があり、蓋をしていないケースに入れておくと、飛んで逃げる場合があります。また、卵の管理中にマットが乾燥した場合は霧吹きなどで湿らせます。