ヌマチチブの飼育方法

概要

ヌマチチブの飼育方法(飼い方)を解説します。飼育に必要なものや飼育環境,飼育する上での注意点,エサやエサの与え方,水換えについて解説します。

飼育設備と環境

主に肉食性の魚であることと、同種であっても他の個体とケンカをするため1つの水槽(飼育ケース)に1匹ずつ飼育する単独飼育が基本となります。複数の個体を同じ水槽で飼育しても、一番強くて大きな個体のみが生き残り、他の個体は死亡する場合があるため、単独で飼育するようにします。

15cm程度までに成長しますが、1つの水槽(飼育ケース)に1匹ずつ飼育する単独飼育が基本であるため、30cm以上の水槽(飼育ケース)で問題ありません。酸欠防止のためにエアーポンプはあった方がよい。ただし、水量6リットル程度以上の広めの水槽(飼育ケース)で飼育する場合でかつ水が少し汚れてきたタイミングで水換えを行うのであれば、エアーポンプはなくても飼育はできます。ただし、エアーポンプがないと水質の悪化が早くなる傾向があるため、水換えの頻度が高くなる場合があります。また、エアーポンプがないとエサをよく食べる時期にたくさんエサを与えると、翌日に水が汚れて酸欠になって死亡する場合があります。そういう意味でも、エアーポンプはあったほうが好ましい。

エサにアカムシやイトミミズなどの生きたエサを使う場合、これらのエサがエアーリフト式のろ過装置内に入り込むため、ろ過装置はないほうがよい。

水温30℃を超えると、暑さで死亡する場合があるため、水温30℃以下の環境が好ましい。さらに、1日で水温の変動が小さい場所、すなわち1日で気温の変動ができるだけ小さい場所がよい。室内の1階で冷暖房を使用しない場所が適しています。1日の気温の変化が小さい場所で飼育している場合は、ヒーターはなくてもよい。また、昼間は明るく夜は暗い場所がよい。

飼育方法(水換え)

水換えは水が汚れてきたり、一定の期間(目安としては1週間に1回程度)が経過すると行います。全体の2~8割の水を交換する部分的な水の交換のほかに、全ての水を交換する方法もあります。新しく入れる水は必ずカルキ(塩素)を抜いたものを使います。全ての水を交換する際には、必ず魚を一時的に別のケースに移動する必要がありますが、この時に使う水も必ずカルキ(塩素)を抜いたもの、または水換え前の水を使うようにします。水換えの際には水槽も洗います。全ての水を交換しない場合は、水槽の側面の汚れを掃除します。全ての水を交換する場合は、水槽を丸ごと洗います。なお、水槽を掃除する場合に洗剤などを使ってはいけません。

飼育方法(エサと与え方)

エサはアカムシ,ボウフラ,イトミミズ,エラミミズなどの生きたエサや冷凍アカムシを解凍したもの、キンギョのエサなどの人工飼料を与えます。

アカムシ,ボウフラ,イトミミズ,エラミミズなどの生きたエサを与える場合は、春~夏~秋にかけては1日~数日に1回与えます。生きたエサを与える場合は、エサが死亡すると水質を悪化させるため、このことを考慮すると数時間、最大でも1日以内に食べきる量を与えるのが好ましい。ただし、実際にはエサとなるアカムシやボウフラ等は数日程度は問題なく生存することが多い。なお、生きたエサを与える場合、エサが砂利やエアーリフト式のろ過装置内に入り込むため、これらは使わない方がよい。

冷凍アカムシを解凍したものを与える場合も、春~夏~秋にかけては1日~数日に1回与えます。水温が高い春~夏~秋にかけては、冷凍アカムシを解凍した時点で、品質が徐々に悪化してくるため、短時間で食べきる量、最大でも1日以内に食べきる量を与えるようにします。食べ残しが出ると水質を悪化させる場合があります。

慣れると人工飼料も食べるようになります。人工飼料には慣れやすく、飼育を始めてすぐに人工飼料を与えても、少量ながら食べることが多い。人工飼料を与え始めて数日~1週間程度で人工飼料に慣れてたくさん食べるようになります。そのため、生きたエサや冷凍アカムシを用意する必要性は低く、扱いやすい人工飼料で十分である。人工飼料を与える場合は、1日1回、数分で食べきる量を与えます。食べ残しが出ると水が汚れる原因となります。人工飼料はキンギョのエサで問題ありません。腹鰭の吸盤を使って水槽(飼育ケース)の壁を伝ったり、泳いで水面まで上がってくるため、水面に浮いているエサも食べることができます。そのため、沈下性のエサである必要はなく、浮上性のエサでも問題ありません。

また、他にもゴキブリも食べます。ただし、ゴキブリはエサと認識するまでに時間がかかる場合があるため、夏季のように水温が高くエサをよく食べる時期に与えて慣れさせておく必要があります。冬季は水温が低くあまりエサを食べないためゴキブリを与えても食べようとせず、ゴキブリというエサに慣れることがないため、食べるようにならない可能性があります。ゴキブリを与える場合は、5mm程度の口に入る大きさが好ましい。大きすぎると口に入らず食べない場合があります。

水温が高い春~夏~秋にかけてはエサをたくさん食べるため、多めに与えるようにします。キンギョのエサを与える場合、体長5cm程度で1日5~10粒、体長8cm程度で1日10~15粒程度、体長10cm程度で20粒程度を目安に与えるとよい。人工飼料の食べ方が悪くなった場合は、生きたエサを与えたり冷凍アカムシを与えると再び人工飼料を食べるようになる場合があります。夏季においては、人工飼料を食べ残した場合、次の日には水カビ(綿のような物体)がエサから生えてくる場合があります。水カビが生えていても生えていなくても食べ残した古いエサは除去することが好ましい。

なお、冬季でも水温が8~10℃程度ある場合、7cm前後の個体で2~3日に1回、キンギョのエサを3~5粒程度、9cm程度の個体で2~3日に1回、5~8粒程度を与えればよい。これでも食べ残しが出る場合は、1回当たりのエサの量を減らすか、4~5日に1回のようにエサを与える頻度を低くします。冷凍アカムシを解凍して与える場合は、5~7日程度に1回与えればよい。その他の目安としては、冬季はエサを与えて3日後くらいにフンを排出するため、フンを出したらエサを与えるとよい。

キンギョのエサを与えた場合、投入直後は硬いため口に入れても吐き出してしまうことがありますが、時間が経過するとエサが水を吸って柔らかくなるため問題なく食べます。10月下旬~11月上旬頃から水温低下に伴いエサを食べる量が減少してきます。また、水温が上昇してくる2月下旬頃からエサを食べる量が増加します。目安としては水温13度を超えるころからエサを食べる量が増加します。この頃になると7cm前後の個体であれば1日1回5~10粒程度与えても全て食べるくらいになります。個体にもよりますが、3月中旬~4月中旬にかけて一時的にエサを食べる量が減少する場合があります。より寒い時期の3月上旬よりも減少し、この時期と同量のエサを与えると食べ残しが出る場合があります。

その他

水位を満水より7cm程度下げていても水槽から飛び出す場合があるため、フタはしておいた方が無難である。アカムシやイトミミズなどをエサに使う場合は、砂利を敷くとその中に入ってしまうため敷かない方がよい。また、水草は飼育することだけが目的であれば不要です。人間に非常によく慣れるため、水槽に近づくとエサを欲しがって水面近くに浮き上がってくることがあります。

関連項目