カワバタモロコの産卵方法

概要

カワバタモロコの産卵方法(繁殖方法)について解説します。カワバタモロコを産卵(繁殖)させるため必要なことや準備をすること,環境などについて解説します。また、産卵後の卵の管理方法についても解説します。

産卵の準備

産卵させるためには繁殖期はもちろんのこと、繁殖期になる前からエサを十分に与える必要があります。エサが足らないと卵に栄養がまわらず、産卵しなかったり産卵しても卵が孵化しない、孵化してもうまく育たなかったりという可能性があります。

水温は冬季は低い状態を維持し、春が近づくにつれて水温が高くなるようにします。日長時間も冬季は短く、春になるにつれて長くなるようにします。日長時間とは昼間の時間のことであり、太陽光や蛍光灯などの光を当てなくても明るければ特に問題ありません。これらについては管理が面倒かもしれませんが、室内の1階で冷暖房を使わない場所であれば水温の変動は小さく自然に近い環境になります。また、日長時間に関しても昼間は明るく夜は電気をつけない場所であれば、自然環境下の日長時間とほぼ同じにすることができます。そのため、1階で昼間は明るく夜間に人が活動しない場所で飼育すれば特に気にしなくても問題ありません。

産卵させる場合は、水槽にオスとメスをそれぞれ複数匹入れておきます。繁殖期のオスには金色の婚姻色が出ます。また、メスには婚姻色は出ませんが、腹付近を中心に繁殖期以外の時期よりも太く丸っこくなります。

当研究所では小さな個体は産卵せず、孵化後3~4年以上経過した比較的大きな個体が産卵しています。なお、成長が早ければこれよりも早く産卵する可能性があり、また、成長が遅ければこれよりも遅く産卵する可能性が考えられます。

産卵方法

産卵方法(繁殖方法)は、繁殖期に1週間~10日に1回程度水換えをすることと、水槽内に水草を入れておくことである。また、カワバタモロコのオスとメスをそれぞれ複数匹入れておき、それ以外の種類の魚は入れないようにします。

当研究所においてのカワバタモロコの繁殖期は7月上旬~9月下旬で、この期間内に6回前後の産卵が行われます。カワバタモロコは水質の変化によって産卵が行われるようである。そのため、孵化後3~4年以上経過した個体であれば、繁殖期の間は1週間に1回程度、全ての水を換えると何回かは産卵するはずである。水の2~8割を交換する部分交換では産卵しない可能性もあります。部分交換を行う場合は、8割程度の水を交換するなどなるべく多くの水を交換するようにします。当研究所においては、8月末~9月末においては、1週間~10日程度の間隔で水換えを行うとほぼ間違いなく産卵するほどである。しかしながら、3~4歳程度の比較的若い個体であれば、水換えをしても毎回のようには産卵しないかもしれません。産卵する場合は、たいていの場合が水換えを行った次の日で、水換えの2~4日後に産卵する場合もあります。また、産卵は朝を中心とした午前中に行われるようである。

カワバタモロコは水草に産卵するため、基本的には水草が必要となります。カワバタモロコの産卵に使える水草にはオオカナダモ(アナカリス)やハゴロモモ(フサジュンサイ,ガボンバ)があります。長さ20cm程度のこれらの水草を複数本入れておくとよい。水草がない場合はビニールひもを20cm程度の長さに切り、それを3~4本束ねてから裂いたもの(人工水草)を入れておけばよい。産卵は水草や人工水草の有無に関係なく行われるが、卵が付着するものがないと全て水槽の底に付着してしまいます。水槽の底に付着した卵は指の先で擦ると取ることができますが、孵化率低下や取ることで死亡卵になる可能性があるため好ましいことではありません。そのため、水草またはその代わりとなるものを入れておく方がよい。

産卵後

産卵後は速やかに卵の付いた水草やビニールひもなどで作った人工水草を、親魚のいる水槽とは別の場所に移動させます。そのまま置いておくと親魚が食べてしまい育つことはないからである。卵は砂利を敷いた広めの入れ物に入れて管理するとよい。なお、卵は24時間程度で孵化するため、産卵した日の夕方、遅くても夜までに移動させる必要があります。

卵はすぐに孵化して稚魚となるため、卵の管理は稚魚を飼育するための飼育ケースで行うとよい。なお、稚魚の飼育方法についてはカワバタモロコの稚魚飼育方法をお読みください。

関連項目