キンギョ(金魚)の産卵方法(繁殖方法)を解説します。産卵(繁殖)に必要なものや準備をすること,環境,注意点,卵の管理などについて解説します。
産卵させるためには、繁殖期になる前からエサを十分に与える必要があります。エサが足らないと卵に栄養がまわらず、産卵しなかったり産卵しても卵が孵化しなかったり孵化してもうまく育たなかったりという可能性があります。また、冬季に寒さを経験させることで季節を感じさせ、キンギョ(金魚)自体に産卵の準備をさせることが期待できます。しかし、年間の気温変化がほとんどない東南アジアなどの熱帯地域でもキンギョ(金魚)の養殖は行われているため、条件がそろえば寒さを経験していなくても産卵するはずである。
産卵においては、オス2匹メス1匹またはオス2匹メス2匹等のように少数の個体を大きめの水槽に繁殖させる方がよいようである。また、メスよりもオスが多いほうがよく産卵するらしい。
繁殖に適した個体は2~3歳以上であるが、1歳でも繁殖できないわけではありません。また、成長が遅い個体などは年齢的には基準を満たしていても繁殖しない可能性はあり得ます。大きさで言うと10cmくらいあれば問題ないと思われます。なお、キンギョのオスとメスは見た目にはほとんど違いはありませんが、繁殖期になるとオスの鰓蓋や胸鰭に追星と呼ばれる白いブツブツが現れるため判別できます。なお、メスにも追星が出る場合も少なからずありますが、基本的には追星があればオス、なければメスという判断でよい。また、繁殖に参加しない若い個体の場合はオスでも追星は出ないものと思われます。
産卵期は主に4~6月頃であるが、7~10月にも産卵する場合があります。大阪府平野部では、産卵期に入って最初の産卵は4月下旬~5月中旬に行われます。同一個体が複数回産卵することもありますが、その場合は最初の産卵の産卵数が最も多く、2回目以降は少量であることが多い。
キンギョは、水が汚れた状態で水換えを行うと、その数日後に産卵することが多い。よって、4月下旬以降は少しくらい水が汚れても水換えはせずに、かなり汚れてから(もちろんキンギョが死なない程度にというのが大前提)水換えをすることで産卵を促すことができる。この方法を用いても必ずしも産卵するとは限らないが、産卵しなくても産卵期の期間中にこの方法を繰り返し行うことでいずれは産卵するものと考えられます。当研究所においてもこの方法で毎年産卵に成功しています。
キンギョ(金魚)は水草に産卵するため、基本的には水草が必要である。キンギョ(金魚)の産卵に使える水草にはオオカナダモ(アナカリス)やハゴロモモ(フサジュンサイ,ガボンバ)があります。長さ20cm程度のこれらの水草を複数本入れておくとよい。水草がない場合はビニールひもを20cm程度の長さに切り、それを3~4本束ねてから裂いたもの(人工水草)を入れておけばよい。産卵は水草の有無に関係なく行われますが、卵が付着するものがないと全て水槽の底に付着してしまいます。水槽の底に付着した卵は指の先で擦ると取ることができますが、孵化率低下や取ることで死亡卵になる可能性があるため好ましいことではありません。そのため、水草またはその代わりとなるものを入れておくのがよい。なお、水草に付着せずに水槽の底に沈んだ卵を指の先で擦って取ることを想定している場合、水槽に砂利は敷かない方がよい。
産卵後は速やかに卵の付いた水草やビニールひもなどで作った人工水草を親魚のいる水槽とは別の場所に移動させます。そのまま置いておくと親魚が食べてしまい育つことはないからである。卵は砂利を敷いた広めの入れ物に入れて管理するとよい。詳細はキンギョの稚魚飼育方法をお読みください。