淡水魚の病気の治療方法

概要

白点病,水カビ病,尾ぐされ病,イカリムシといった淡水魚(川魚)の病気の治療方法を解説します。ここでは、食塩を使った病気の治療方法(治し方)について解説します。1%以上の高濃度の食塩水を使う方法を重点的に解説します。また、この方法を行う上での注意点や見極めの方法もあわせて解説します。

なお、1%以上の高濃度の食塩水を使う方法は、見極めを誤ったりすると魚が死ぬ場合がありますが、成功すれば高確率で治すことができるハイリスクハイリターンな方法です。そのため、この方法で魚が死んだなど何か不都合が生じたとしても当研究所は責任を負いかねます。ご理解のうえ治療の実行は自己責任でお願いします。

病気の治療の概要

0.5%~0.7%の食塩水に入れたり、魚用の薬を入れたりしてもそう簡単に病気が治るというわけではないようです。経験的には、0.5%~0.7%の食塩水に入れてもなかなか病気は治らないと言っても過言ではないほどです。

病気を治すための具体的な治療方法の1つとして紹介するのは、1%以上の食塩水に短時間入れておくというものである。この方法は、見極めを誤ったりすると場合によっては魚が死亡することもあるが、成功すれば実質的には10分程度の短時間で治すことができます。しかし、実際に完治したかどうかがわかるのは数日後であることが多い。なお、稚魚や小さい魚にはこの方法は使えません。目安としては4~5cm程度以上の魚には問題ないと思われます。また、軽症の個体は治る可能性がありますが、重症の場合は、この治療方法は向いていません。

百分率での濃度の計算方法は、塩の重さを水の重さと塩の重さの合計(食塩水の重さ)で割ったものに100をかけたものである。しかし、これだと実際に食塩水を作る上ではややこしいことが多いため、このページで紹介する治療方法においては、塩の重さを水の重さで割って100をかけたものとする。実際の2%食塩水100gは、98gの水に2gの塩を混ぜたものであるが、100gの水に2gの塩を混ぜて作った食塩水の濃度は約1.96%であり、誤差はかなり小さいことがわかる。この誤差は、濃度が低いほど小さく、治療に使う食塩水の濃度は2%以下であるため、この程度の誤差は無視できる範囲である。また、この程度の濃度の差で魚の生死を分けることは通常ないうえに、正確に作ったものよりもわずかに濃度が低くなる、つまり水に近くなるため、この誤差によって魚が死ぬということは通常はないと考えられる。水1リットルは1000gなので、1%食塩水とは、ここでは1リットルの水に10gの塩を溶かしたものということになります。

食塩水に入れることによって病気の治療が行えるのは、浸透圧に関係します。淡水魚の場合、淡水の塩分よりも体液の塩分の方が高く、魚の体内に常に水が入ってきています。魚は入ってきた水と同じ量だけ体外に排出しています。これは病気を引き起こす寄生虫でも同じである。魚の体液の塩分よりも高い食塩水に入れると、魚の体内の水は体外へと出ていく。これも病気を引き起こす寄生虫でも同じである。淡水生物の場合、体内に入ってきた水を排出する能力はあるが、体外に出ていった水を体内に補給する能力は基本的にないため、いずれは体内の水はなくなってしまいます。そのため、自分の体液の塩分よりも高い塩分の水中では生きていくことはできません。しかし、このような水中に入ったからといってすぐに死ぬわけではなく、死ぬまでにはある程度の時間がかかります。死ぬまでの時間は病気を引き起こす寄生虫と魚とでは、通常は魚の方が長いため、寄生虫だけ死ぬが魚は死なない時間だけ、魚の体液の塩分よりも高い食塩水に入れることによって治療が行えるのである。

病気の治療の方法

実際に治療を行う方法は、まず病気になっている魚となっていない魚を分けます。病気になっている魚と同居している魚でも病気を発症しない魚もいるため、とりあえず発症している魚のみ治療を行います。発症していない魚は他の水槽にきれいな水を入れてその中に入れておきます。このとき、必ず新しい水槽に入れるようにします。病気になっていない水槽に入れてしまうと、その水槽で病気が発生する場合があります。水槽に移動させた病気になっていない魚は発症しないかどうか注意しておき、発症した時点で治療を行います。発症していない魚も病気になっている可能性もありますが、必ず病気になっているとは限らないため、多少のリスクのある治療を行うより様子を見る方がいいかと思います。なお、病気が発生した水槽の水には病原菌がいる可能性が非常に高いため、この水が他の水槽に入らないように注意する必要があります。1滴でも入ると病気になる可能性があります。

治療用の水槽に目的の濃度の食塩水を作ります。この時、塩が完全に溶けるようにしてください。この中に治療に予定している時間だけ魚を入れます。なお、治療中も基本的にエアーポンプを使用し、魚が酸欠にならないように注意してください。また、高度な方法としては、水槽に目的の濃度の食塩水を少な目に作り、治療終了後に水で薄めて0.5%~0.7%になるようにするというものです。このようにすることで、魚がナトリウムなどを摂取して体力回復や、病原菌の繁殖低下等の期待ができます。具体的な方法としては、例えば、12リットル入る水槽に1.5%の食塩水4リットル(水4リットルに食塩60gを混ぜる)を作り、治療後に8リットルの水で薄めると0.5%の食塩水が12リットルできます。また、8リットル入る水槽に1.4%の食塩水4リットル(水4リットルに食塩56gを混ぜる)を作り、治療後に4リットルの水で薄めると0.7%の水が8リットルできます。このように、食塩水の量の2倍の水で薄めると濃度は約2分の1になり、3倍の水で薄めると約3分の1になります。これを利用して、最終的な水の量と食塩水の濃度から治療に使う水の量と食塩水の濃度を決めるというのが高度な方法である。

治療はできるだけ高濃度の食塩水にできるだけ長く入れておく方が効果は出るが、耐塩性は魚によって異なります。食塩水に入れておく時間は、1.5%以上で10分、1.5%以下で10分以上15分以下が目安であるが、魚の様子を見ながら行う必要があり、魚が暴れだすと危険でありすぐに終了させる必要があります。耐塩性の低い魚では、1.3%程度の食塩水に入れても水面で横向きになったりするが、軽症で元気な個体に関してはそのまま10分程度入れておいても死亡することは少ないようである。1.5%程度の食塩水で治療を行った場合、うまくいけば1回の治療で完治できます。

耐塩性の低い魚では濃度を低くするため、軽症や初期の場合でも日にちをあけて複数回治療を行わないと治らないこともあるが、かなりの高確率で治すことができます。いずれの場合も、重症や末期の場合は治療によって死亡することが多いため早期発見早期治療が重要である。経験的には、病気発生時に泳ぎ方が通常と変わらなければ治療によって治る見込みは大いにあるが、泳ぎ方が通常とは異なる場合は見込みは低いようである。

この治療法(高濃度短時間塩水浴)は病気の早期発見早期治療が前提となります。発見や治療が遅れると魚の体力が低下し、この治療によって魚が死ぬ可能性が高くなります。また、食塩水は真水に比べて酸素が溶けにくいため、酸欠にいつも以上に気をつける必要があります。なお、治療後はエサは通常通り与えてよい。治療日の当日は治療による環境の変化などの影響によりエサを食べない可能性もあるため、治療日の翌日から与えるとよい。

この治療方法は魚の体の表面に寄生する寄生虫によって引き起こされる病気である白点病,水カビ病,尾ぐされ病,イカリムシといった病気に効果があると考えられる。

白点病は、体にかなり多量についていても助かることがあります。軽症や初期であれば治る可能性が高い。白点病の病原虫は魚の皮膚(上皮)内に寄生するため薬が効かないという記述を見かけるが、ここで説明している方法であれば魚に寄生している場合でも治療が可能です。

水カビ病は、耐塩性の高い魚の場合、1.5%以上の食塩水に10分以上、それ以外の場合は1.3%程度の食塩水に15分程度入れておくことで、死者を出さずにほぼ確実に治すことが可能である。ただし、多量についている場合は助からないことも多く、その理由は水カビ病は寄生することで魚の浸透圧を破壊するため、高濃度食塩水に入れると魚の体内の水が通常よりも早く体外へ出ていくためだと考えられる。

尾ぐされ病は、耐塩性の高い魚の場合、1.5%以上の食塩水に10分以上、それ以外の場合は1.3%程度の食塩水に15分程度入れておくことで、死者を出さずにほぼ確実に治すことが可能である。

イカリムシの場合は、1cm程度の大きさがあるためピンセットなどで除去できる。しかし、イカリムシは頭の錨のような形をした部分を魚に食い込ませて付着しているため、無理に引っ張って除去すると、魚が出血多量で死亡することもあります。また、イカリムシの体が切れて一部が残ることもあります。一部が残ると、その部分から再生するそうなので、全て除去する必要があります。これらを解決するために、1.5%程度の食塩水に10分程度入れてイカリムシを弱らせてから除去するのがよい。1.5%食塩水に魚を入れると、魚が死んでしまうこともあるので注意しながら行う必要があります。イカリムシを弱らせてから除去する方法でも、出血多量で死亡することが絶対にないということは保証できないので、心配な人は1.5%食塩水に10分以上入れてイカリムシを確実に死滅させてから自然に離脱するのを待つほうがよい。

耐塩性の目安について

5月にタイリクバラタナゴを1.5%食塩水に入れるとすぐに水面で横になって泳いでしまいよくない状態であったが、同じ個体を9月に同じく1.5%食塩水に入れると普通に泳ぎ続け、何も異常が起こることなく約20分入れておくことができました。このように、個体の調子や水温などの環境によって食塩水に入れておくことができる時間は変わるものと思われます。この他にも、11月上旬に3~4cm程度のワキンを1.5%食塩水に10分以上入れても特に問題が起こることはありませんでした。

病気を防ぐために

病気は外部からの魚を水槽に入れたときによく発生します。特に川等で捕獲した魚を直接入れると病気が発生しやすい。捕獲した魚は1週間程度、別の水槽で様子を見て、病気にならなかった場合は他の魚と同じ水槽に入れるという方法でかなりの率で病気を回避できます。高濃度短時間塩水浴を行う場合は、濃度1.5%以上で10分以上が目安である。これ以下だと効果があまりないが、これ以上だと魚が死ぬ場合があります。同じ個体であっても、その魚の体調や環境などによって塩水浴できる時間が変わります。

一度病気になった魚は、同じ病気にはなりにくいという話も聞いたことがあるが、経験的には同じ病気でもなりにくいというのはないと考えています。同じ個体が同じ病気に何回も感染した例もあるため、必ずしもなりにくいというわけでもないようである。経験的には病気のなりやすさは魚種によって異なるようであり、キンギョ(ワキン)やタモロコはなりにくく、タイリクバラタナゴやコウライモロコ,シロヒレタビラはなりやすい傾向があります。

その他

塩濃度0.3~0.7%程度の低濃度食塩水による治療が有効と考えられる症状は、鰭が充血している場合や体から出血している場合などである。食塩濃度は理論的には魚の体液の塩濃度である0.9~1.0%以下がよい。低濃度食塩水による治療は1週間単位といった長期的に行うため、実際には0.4~0.5%くらいがよい。0.7%や0.8%では、通常は中層以下を泳いでいる魚が表層を泳いだりという通常と異なった行動をとる場合があるため、このような事態は避けるべきである。通常と何かが違うということは、魚に何かが起こっている可能性も考えられるためである。

関連項目